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輸送密度1000人とはどういう数字なのか?

 最近いろいろな鉄道指標が出てきて、何れにしても共通点としては「利用が少なすぎてやってらんない!」なのですが、この数字、いったいどう読めば良いのでしょうか。ということで、考えてみます。(理解違いがあったらスミマセン)

 

1.輸送密度とは

 その際によく出てくる指標として「輸送密度」というものがあります。

上記サイトによると、定義と計算式は以下の通りとなります。

旅客営業キロ1kmあたりの1日平均旅客輸送人員のことを「輸送密度」といいます。1日1キロあたりの平均乗車数として算出されるため、「輸送断面」と呼ぶこともあります。

計算式は、「輸送密度=年間輸送人キロ÷営業キロ÷365日(閏年は366日)」となります。鉄道の線区別の輸送効率を知るために非常に重要な指標です。

単位は人/日となります。

 

2.平均通過人員とは

最近は「輸送密度」ではなく「平均通過人員」の方が用語として多いように見えます。こちらは、JR東日本のHP上では

【平均通過人員】=【各路線の年度内の旅客輸送人キロ】÷【当該路線の年度内営業キロ】÷【年度内営業日数】

と定義されています。数式を見る限り用語が違うだけで中身は同じっぽそう。年(1月~12月)か、年度(4月~3月)位でしょうか?

 

3.旅客輸送人キロとは

最初に紹介したHP上はこのように書いています。

輸送した個々の旅客(人)にそれぞれの旅客が乗車した距離(キロ)を乗じたものの累積のことを「輸送人(じん)キロ」といいます。

計算式は輸送人キロ=輸送人員×乗車距離」で、交通機関の輸送の規模を示す重要な指標です。

つまり例えば全長5km路線があったとして、

①5㎞の路線を一人で乗り切る(輸送人キロ=1人×5km)

②5人が1kmのみ乗車(輸送人キロ=5人×1km)

は同じ輸送人キロとなります。

 

4.とある路線を例に考察

では、実際にJR東日本の烏山線(営業キロ:20.4㎞)を例に見てみましょう。この路線を選択した理由は、全列車が普通列車のみ、区間列車が無い(全列車が宝積寺~烏山を走行)ので考察する上で色々と計算しやすいから。

 

この路線の2020年度の輸送密度は1,148人/日でした。1987年が2,559人/日でしたので、半分以下の数字になっています。コロナ前でも1,500人/日を少し下回る程度。では、ここから色々と数字をいじっていきましょう。

 

仮に烏山線内の全乗客の平均乗車距離が路線長の半分、10.2㎞として1日の乗客は2,296人。乗客全員が東北本線との接続駅となる宝積寺を通過するとして、この路線の1日の運転本数は上下合わせて27本(朝夕約1時間毎、日中約2時間毎)なので、1本あたりの乗車人数は85人。

 

この路線に使用している電車はEV-E301系という珍しい蓄電池車で定員は266人。ということは平均乗車率は32%。座席定員は96席なので、全員座れるレベルの乗車人数となります。ラッシュ時はもちろん乗客も増えるでしょうけれども、定員を大きく超えることもないのかな?重すぎて電池切れしそうだし。

 

5.バス転換しようとすると・・・

 次に出るのが代替の交通機関。朝夕約1時間毎、日中約2時間毎で1本あたりの乗車人数は85人でしたので、バスに転換しようとすると、(40人乗るとかなりの圧迫感を受けるので)電車1本あたり、3本のバスは必要。とすると上下で81本必要になり、中々な高頻度運転になりますな。ただし、街中を走る路線になりますので、所要時間は多分1.5倍(+渋滞)位になるかと・・・

 

6.営業係数

もちろん、これで収支が黒字であれば問題はないのですが・・・であればこんなリストに載っているわけがなく、例に挙げた烏山線の場合、営業係数は1111。100円稼ぐのに1,111円のコストをかけているということに。公共交通でなければ即撤退なレベルかと。蓄電池車という特殊車両にコストがかかっているのかもしれませんが、おそらくは、それよりも乗客の(恐らく)大半が東北本線宇都宮までの利用でしょうから、運賃収入が東北本線と折半・・も収入が上がらない要因かと?

 

 トントンにするには現在の11倍の収入が必要なわけで・・。もちろん、本数を増やすとその分コストも上がるので、本数維持で収入11倍!。とすると単純に乗客が11倍必要なので、1列車当たり935人必要・・・電車定員の3.5倍。

 

 少なくとも2両編成のままで都合よくコストが増えない場合で、朝ラッシュは10分毎、日中は20分毎前後の本数(+もちろん乗車定員前後の乗客)が必要ということになります。4両であれば朝は20分毎くらいで、日中は30~60分毎くらいかな?

 

7.まとめ

タイトルの「輸送密度1000人とはどういう数字なのか?」ということで、輸送密度が1,148人/日の烏山線を例に出すと、

 

・列車本数 : 終日 2両編成の電車が 1~2時間に1本

・乗車率  : 平均すると上記本数で全員が座れる。

・バス化? : 電車比で3倍の本数 VS 所要時間1.5倍以上の増

・黒字化? : 今の11倍は乗客を連れてこいw

 

のようです。

 

8.参考

 特にリストに載っていない路線だとどんな感じかを参考として紹介。いつも使う度にガラガラ(始発にばっかり乗っているのが原因)で心配している水戸線ですが、2020年度での輸送密度は4,679人/日(19年度は6,730人/日)と密度は4倍で、旅客収入は約13倍。路線長は2.5倍あるので路線1km当たりにすると旅客収入は5.2倍。

 つまり、1kmあたり旅客から得られる収入は烏山線の1.3倍で、思いのほか差はなかった・・。まぁ、こういう場面では(旅客)数が全てなんでしょうけど。

 ところで、最も利用客が多いであろう下館-小山館は区間列車入れて1日61本。とすると、1本あたりの平均は77人ですが、密度も小山寄りで3倍あったとして231人/本。

 使用する車両がE531系の5両編成で定員760人なので乗車率は30.3%・・・あれ?

(路線長の2%も無い直流区間のため、交直両用車を使わないといけないという事情はありますが。)

 

以上 数字遊びでした。